こんにちは。タカヤマタクマです。
私はこれまで3つのコールセンターで働いてきました。
今は3つ目のコールセンターで働いています。
それぞれのコールセンターを辞めたきっかけは、転居などのやむを得ない事情によるものなので、嫌だから辞めたという訳ではありません。
しかしコールセンターにもアタリとハズレがあると思います。
アタリハズレを判断するポイントは多すぎて、1つの記事だけでは到底網羅できるものではありません。
1つの問題に1記事を費やす必要があります。
その中で今回は最も簡単に、アタリハズレを見分ける方法について書きたいと思います。
電話を受ける時のリスク
最初に見分けるポイントを申し上げましょう。
良いコールセンターと問題のあるコールセンターを見分けるコツは、オペレーターのフルネームを聞かれたら答えるルールになっているかどうかです。
なぜと思うかもしれません。これから解説したいと思います。
オペレーターの仕事は、様々な人から電話を受ける仕事です。中にはおかしな人から電話がかかってくることもあります。
おかしな人というのは、自分がどんなにおかしな要望をしているのか自分で判断できずに、行き着くところまで行ってしまう人です。
そういう人は概して、人の気分を害することに秀でています。
そうすると売り言葉に買い言葉になりやすく、こちらの対応も荒れてしまいがちになります。
以前私の同僚で、普段はとても穏やかな女性がいました。
私は隣の座席にいて、先輩として時々アドバイスをしていました。
その女性オペレーターがある時、様子がおかしいことに気が付きました。
私は急いで自分の電話対応を折り返しにして、スーパーバイザーを呼びに行きました。
後で聞いたところによると、客からの理不尽な要求と厳しい言葉に自分の感情を抑えられなくなって、過呼吸になったんだそうです。
過呼吸になっている状態でも、客からの罵倒は続いたそうです。結局そのオペレーターは辞めてしまいました。
仕事だから冷静に対応しなければいけないというのはもちろんのことです。
しかし一方で、どんな場合でも冷静に対応できる人を、私はこれまで誰一人見たことがありません。
私だって時に声が大きくなることがあります。 人が耐えられる限度を超えたストレスがかかる場合もあると、予め想定しなければいけません。
「東芝クレーマー事件」と「花王不買運動」
察しの良い方は、コールセンターの良し悪しをなぜオペレーターのフルネームを答えさせるかどうかで見分けるのか、お分かりだと思います。
一言で言うと、オペレーターを守るためです。
詳しく述べる前に、コールセンターを舞台にした有名な事件について取り上げたいと思います。
1つ目は「東芝クレーマー事件」です。
この事件では、コールセンターにかけた客に対して東芝の担当者が暴言を吐いてしまい、その電話音声を秘密裡に録音されて公開されてしまいました。
事件は瞬く間に拡散され、東芝は謝罪することになりました。
もう一つの事件は「花王不買運動」のきっかけとなった電話対応です。
そちらもコールセンター担当者の暴言によって、大規模な花王の不買運動に発展しています。
どちらもコールセンター担当者の暴言については、擁護しようがありません。あってはならない発言だと思います。
しかし先程述べたようにオペレーターがどんな場合でも決して取り乱すことがないかといったら、そんなことはありません。
感情的に不安定になること、そしてヒューマンエラーは、誰にでも起こりえることです。
今の時代は簡単に音声を録音して、拡散することができる時代です。
もしオペレーターの名前がフルネームで拡散されたら、その人は社会的に大きなダメージを受けることでしょう。
実際に先程の花王の件では、暴言を吐いた担当者の上の名前だけが広く拡散されました。
上の名前かフルネームかは、個人が特定されるかどうかの分かれ道になる点で、とても大きな問題です。
なぜハズレだと言えるのか
オペレーターのフルネームを答えさせるコールセンターは、オペレーターを守るつもりはありませんと言っているようなものです。
わたしはそういうコールセンターはハズレだと思います。
コールセンターの運営者だったら、たとえミスをしたとしてもオペレーターを守らないといけません。
それでもフルネームを答えさせるならば、守る姿勢がないという点で大きな問題です。
またそこまで考えていなかったという場合は、最前線のオペレーターの仕事について無知だということですから、それも問題です。
無知な場合は、他の場面でもお粗末な運営体制になっているものです。
つまりフルネームを答えさせるコールセンターは、オペレーターを守らないか、無知かのどちらかです。
私がこれまで勤務した3つのコールセンターでも、1か所だけフルネームを聞かれたら答えるルールになっているところがありました。
コールセンターでも当たりとハズレがあると申し上げましたが、私の例でもフルネームを答えさせたコールセンターが一番ハズレだったと思います。
何でも一事が万事で判断することはできませんが、もしものことを考えたら、その一点だけで判断してもいいと思います。
ちなみにフルネームを言うルールになっているかどうかについては、実際にそのコールセンターに電話をしてみるとあっさりと分かります。
もし会員登録が事前に必須とかで確認できない場合は、採用時に聞いてみるといいでしょう。
人事部とか採用担当の人が答えられない場合も多いと思いますので、後からメールで問い合わせてもいいかもしれません。
運用上の留意点
では次に実際の業務で問題となりそうな場面を想定しておきたいと思います。
コールセンターでは、最初にこちらから相手にフルネームを聞く機会が多いと思います。
それに対して、こちらがフルネームを名乗ったのだから、そちらも名乗れという客もいます。
しかしそれについては、答える必要はありません。
こちらがフルネームを確認するのは、個人を特定して最適な電話対応をするためです。
個人情報保護法によって、必要ではない情報を聞いてはいけないことになっているセンターも多いと思いますが、必要だからこそ聞いている訳です。
そのコールセンターに1人だけの苗字であれば、それを答えるだけでオペレーターを特定できるはずです。
もしオペレーターが鈴木とか佐藤など多い苗字の場合は、より詳しい部署名などを添えて、苗字とセットで特定できるようにすればいいだけです。
ルールに基づいて必要だからこそフルネームを聞いているのですから、丁寧にそれを説明するといいでしょう。
中には駆け引き的に、フルネームを聞くことによって相手に威圧感を与えて、自分に都合の良い対応を引き出そうとする人もいます。
そういう時は警戒モードを一段階引き上げて、時にはスーパーバイザーと連携して対応するといいでしょう。
どんな場面でもオペレーターのフルネームを特定する必要は考えられません。
今回の記事は主にこれからコールセンターで働く人向けの書いた内容です。
ただし運営側の人にとっても、これまでの運用を見直すいい機会にしていただければと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。