こんにちは。タカヤマタクマです。
今回はクレーム対策について書きたいと思います。
クレーム対応はこの記事1回限りで言及が終わるような問題ではありません。
何度かに分けて触れていかなければいけない問題です。
今回は現場と運営側に双方で最初に確認しておきたい、基本的な問題について取り上げたいと思います。
オペレーターが留意すべきこと
クレームについては最初からそう判断できるケースと、途中から判明する場合とがあります。
コールセンターによっては、入電時にその顧客の情報が画面にポップアップする場合があって、そこに要注意顧客と記載されている場合があります。
そういう場合は特に悪質なケースが多いので、意識をはっきり切り替える必要があります。
コールセンターには必ずクレーム対応マニュアルがあると思いますから、まずはそれを開きます。
いざというときにマニュアルを参照できるように、置き場所は普段から確認しておくといいでしょう。
特に新人オペレーターの場合は、予め読んでおいて事前に疑問点を解決しておいた方がいいと思います。
意外と研修でも技術や商品・サービスの内容ばかりで、クレーム対応の研修が盛り込まれていない場合があります。
もし研修でやったとしても、マニュアルの内容は一通り読んで内容を把握しておくといいです。というのは、クレーム対応時はあまり余裕がないからです。
電話の会話だけでもしどろもどろになることが多いのに、初見でマニュアルの内容を把握して、的確に対応することは困難だと思います。
もう一つオペレーターが気をつけることは、言葉遣いを含めて、守りを固めるということです。
守りを固めるというのは、文句を言われそうな言動を控えて、失点しないようにするということです。
よくあるのは客の間違えた理解を訂正しようと、孤軍奮闘して戦ってしまっているケースです。
もちろん間違えたところを訂正するのは必要なことですが、それは一度だけでかまいません。
何度も否定するとクレームに更に火が点きます。
後でスーパーバイザーが引き継いだ時に困らせないように、否定すべきところはアリバイづくりとして一度だけしっかり否定しておきましょう。
それ以上の努力は不要です。
クレーム用テンプレートについて
それ以外の注意点としては、なるべく早い段階で折り返しにすることです。
クレームのマニュアルに本来記載すべきことですが、そういう大切なことをしっかり書いていないことも多いです。
クレーム対応の基本は、組織として対応することです。
権限のない一次対応のオペレーターが、ずっと丸腰で最前線に立っているべきではありません。
スーパーバイザーが引き継ぐことができるように、最低限のヒアリングをしておくといいでしょう。
もちろん基本事項すら満足に答えてもらえない場合も多いと思いますが、とりあえず質問を投げかけておきます。
答えるかどうかはオペレーターの責任の範囲ではありません。
質問すべき内容はテンプレートの形で持っておくと、折り返しにした後にあれも聞いておけばよかったと、聞き漏れを後悔せずに済みます。
場合によっては、聞き忘れた質問のために再度電話をしなければいけませんが、そうするとまた延々と説教が始まるものです。
私は自分なりのクレーム対応テンプレートを、二種類に分けて作成しています。
まずは基本テンプレートです。 そこには名前や連絡先など、どんな場合でも共通して質問しなければならない項目を入れています。
2つ目はケース別テンプレートです。
クレームというのは通常そう多くのバリエーションはありません。
比較的よくあるパターンのクレームについては、そのケースのヒアリング項目をまとめておくといいでしょう、
そのテンプレートを上から順番に聞いていって、回答がなかったら「回答なし」と書き込みます。一番下の項目まで質問し終わったら折り返しにして、上長にバトンタッチするのです。
テンプレートは聞き忘れを防ぐだけでなく、無駄のない対応をしてなるべく自分がそのクレームを持っている時間を短くするためもあります。
クレームの対応は決して気分が明るくなるものではありません。その時間を合理化して短くすると、ダメージが少なくて済みます。
それに多くの場合クレーマーは、待つことに対して許容できないものです。1分以内に回答しろなどと不可能なことを平気で言ってきたりします。
一次対応ではできる範囲のことをして、なるべくすばやい対応を心掛けるといいでしょう。
クレーム対応マニュアルの作成時注意点
次に運営者側の方を対象に、クレーム対応マニュアルの作成時の注意点やコツについて申し上げます。
よくある間違いは、完璧なクレーム対応マニュアルにしようと、つくりこみすぎていることです。
問題はいかに完璧につくったとしても、それが現場で機能しないものであったら、全く意味がないということです。
ヒアリング項目が多すぎたり、これができないと次に進めないフローになっていたり、沢山の工程を正確にこなすことが前提になってはいないでしょうか。
いま一度検討してみるといいかもしれません。
クレームは多くの場合、普通の理屈が通じず会話も成立せず、そもそも何を言っているのかすら分からない、そんな事例がゴロゴロしています。
意思疎通すら難しい相手に対して、話が通じるだろうという楽観的な前提を置いてはいけません。
最悪の場合は、名前と電話番号だけしか確認できないまま折り返しにすることもやむを得ない場合があります。
それでもスーパーバイザーが通話録音を聞けばいいですよね。
クレーム対応マニュアルは、実際の現場で使えるものかどうかが全てです。
よく豪雨災害で自治体の避難マニュアルが現実的ではなかった為、被害が拡大して非難を浴びることがありますよね。それと同じです。
私がご提案したいのは、一次対応で使う実戦的なマニュアルと、スーパーバイザーが使用する内部処理用の詳細なマニュアルの2種類を作成しておくことです。
私がスーパーバイザーをしていた時も、クレームを引き継いで内部調整が必要な場合、そこで初めてイチから調整を始めなければいけませんでした。
いつも時間の無駄だと思っていたものです。
内部的には様々なケースを想定して、事前調整済みの管理者用のマニュアルを作成しておいた方がいいと思います。
現場で機能するマニュアルの作成にどうしても必要なこと
最後に運営側の人にご提案があります。
クレーム対応マニュアルを作成する場合、まずはその人が実際にクレームを受けて、肌感覚でクレームとはどういうものか知っていただきたいと思います。
通常クレームはオペレーターからスーパーバイザーにエスカレーションされて、ほとんどはそこで終わります。
従ってそれ以外の運営側の人間が、クレームを受けることはほぼありません。
ただ私がこれまで在籍していたコールセンターでも、通常クレームを受けることがない運営側の人間が、クレーム対応マニュアルを作成しているケースが多かったと思います。
私の経験でも普段クレームを日常的に受けていない人が、適切なクレーム対応マニュアルを作成できていた試しがありません。
私は実際にクレームを受けることを日常業務として組み込んで対応経験を積んだ人が、マニュアルをつくった方がいいと思います。
アメフトでも実際にプレーしたことがない人が、フォーメーションを考えたりはしません。
先程申し上げたように、クレーム対応マニュアルは何かあればいいというものではありません。
現実に使いものになるかどうかが重要です。
クレームの電話録音を実際に聞くから問題ないと言う人もいるかもしれませんが、それでは足りません。
実際電話を受けてみないと、そういう状況では何ができるか肌感覚で分からないものです。
先程の例の続きでいえば、アメフトをテレビでよく見ているから、フォーメーションや作戦指示ができるかといったら、そんなことはありません。
ある程度の経験の蓄積がないと分からないことも多いものです。
私が在籍していた3つのコールセンターの中で、機能するクレーム対応マニュアルがあったのは1か所だけです。
そこでは現場叩き上げの人がマニュアルを作成したので、現場の機微が盛り込まれた内容になっていました。
運営側の方には、自分がよく知らないままクレーム対応マニュアルをつくることで、結果的に現場が疲弊してしまわないように、ぜひともご配慮をお願いしたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。