こんにちは。タカヤマタクマです。
今回は初めてQCについて書きたいと思います。
ご存じない方のために説明すると、QCとはクオリティコントロールのことで、つまり電話内容を評価をして応対品質を高めることです。
通常コールセンターにはQC担当者がいて、定期的にオペレーター全員の対応内容を聞いてその評価をします。
それを受けて定期的に面談をして、どうしたら改善できるかオペレーターと話し合います。
それによってコールセンターの品質を維持するという役割を担っています。
QC担当の仕事について
私はSVとオペレーターの経験はありますが、QC担当者の経験はありません。
ただ私はこれまで何人ものQC担当者と接してきました。ある時はSVとして、又ある時はオペレーターとして接してきました。
すると能力の高いQC担当者もいれば、能力の低いQC担当者もいることが分かります。
便宜的に前者を良いQC担当者、後者を悪いQC担当者と呼ぶことにしたいと思います。
QC担当者というのは一方的に評価をする特権的な立場です。
評価される側に回ることはまずありません。とても強い立場と言えるかもしれません。だから良くも悪くも安住しやすいと思います。
また数字や実業務とは切り離されている為、担当者の良し悪しが見えにくい側面があります。もしそれが顕在化しているとしたら、よほどひどい場合だけです。
しかし注意して見ていると良いQC担当者と悪いQC担当者の違いが見えてきます。
今回はその見分け方を考えていきたいと思います。
担当者によっての考え方や意識の違い
QC担当者は電話対応の品質を判断する側です。
しかし本来はオペレーターの電話対応の品質を高めるために評価するという前提があります。
そこが形式的になっていないかが問題です。私が一番違うと思うのは、そのあたりの考え方や意識の違いです。
私から見て悪いQC担当者とは単に電話内容を評価することだけをしている人です。
ある意味一方的に評価をするという安全な役割に閉じこもっていて、電話対応の品質向上に対する熱意が見えない人です。
もちろん電話対応を向上するためのアドバイスはするでしょう。
しかしただ単にその人の対応の悪いところを見つけて、その改善をするために表面的な改善点だけを指摘して、あとは本人の努力任せにしているだけです。
そうした形式的で表面的なアドバイスで電話対応品質が向上するのなら、誰も苦労しません。
このタイプの人は電話対応品質が高くなるかどうかは、自分と切り離して考えがちです。
確かに評価だけしていれば自分の仕事を果たしているように外からは見えると思います。
しかし極端に言えば、電話対応の品質を向上させられないのであればQC担当者も必要ありません。
一方良いQC担当者は評価だけでなく、品質向上というゴールを見て仕事をしている担当者です。
良いQC担当者の場合は、まず電話対応の品質を高める目的があって、そのために逆算をして改善点を見つけるために評価をするのだという、正しい認識の仕方をしているように思います。
応対品質を向上させるために現時点での評価を行う。もし悪いところが見つかったとしても、これから改善をしていくための足がかりとなる。
だから悪い評価が出たとしても、それ自体は改善していく契機にすぎないし、過剰に気にする必要はない。 こんな感じです。
このことは私がSVとして働いていた時、素晴らしいQC担当者に出会い、本人からそういうようなことを言われたことがあります。
良いQC担当者の場合は、評価は改善するプロセスの一環と考えている。ゴールではない。そこが大きな違いのように思います。
やっている仕事内容も違う
その意識の違いが実際の仕事にどう表れているか、これから説明したいと思います。
悪いQC担当者はオペレーターを評価するところ時間をかけます。
だから電話対応を聞くことにとても時間をかけています。まるでそこが自分の仕事の聖域ではないかと思っているかのようです。
ある意味で受け身の仕事の仕方と言えるかもしれません。
なぜならオペレーターの評価をしていれば最低限自分の仕事をやっているように見えるからです。
またその評価の仕方についても、過度に客観性を主張しようとしているようなところが見受けられます。
QCというのは客観的な評価によってなされるべきものなので、客観性を重視することは間違いではありません。
しかしまるで鬼の首をとったかのように客観性を盾にして、オペレーターに圧力をかける人は良いQC担当者ではありません。
QCはどんなに客観的な指標を整備しても恣意的な判断が介入する余地が少なからずあります。
本質的にQCは客観的な判断としては限界がある。まずはそれをきちんと押さえておいた方がいいと思います。
悪いQC担当者の場合は、自分の聖域を守るためか自分の評価がとても客観的であると過剰にアピールするところがあるので、そこがひとつ見極めポイントになるかもしれません。
また客観性の過剰なアピールは違う目的を伴っている場合があります。
私がSVだった時にQCの評価がとても低いオペレーターがいましたが、私はそれほど悪い対応をしていないと思っていたので不思議に思っていました。
しかし良いQC担当者になってから、その担当者の評価が大きく上がりました。
それは私が実感しているのと同じぐらいになりました。おそらくQC担当者との個人的な相性などが影響していたのではないかと思います。
では一方、良いQC担当者の場合は、電話録音を聞くことばかりではありません。
評価をするために関係箇所に問い合わせたり調べたり、そういうところに時間を使う比重が増えたように思います。
電話対応というのは言葉だけの問題ではありません。電話録音ばかり聞いていても判断しようがないところも多いと思います。それは個別の事情があるからです。
例えばこの時は混み合っていたからこの例外的なフローで対応するなどと、臨機応変に対応することがあります。
また一時的な判断の変更なども数多くあります。SVからの指示でネガティブな方向に話を持っていく場合あります。
悪いQC担当者が電話録音だけで判断しているのに対して、良いQC担当者はその判断のもとになる情報きちんと確認するところから始めます。
良いQC担当者のゴールは評価ではなく、事情を分かった上で有益なアドバイスをする準備に時間をかけています。
ちなみに私がSVをやっていた時に出会った良いQC担当者は、自分が判断間違えていないかどうか、SVである私によく確認しに来ました。
対象となる録音に特別な要素が含まれている場合は、きちんと除外して違う録音を対象にしていました。
その前のQC担当者はほとんど聞きに来ることがなかったので、随分仕事ぶりが違うんだなと思いました。
評価の背景を理解してから評価する。例外的な判断の録音は除外する。
考えてみると当たり前のように思うかもしれませんが、特権的に他人を評価する立場であるQC担当者の立場からすると、その面倒な作業を省きたいと思っても不思議はありません。
そのQC担当者の担当人数にもよりますが、録音だけで機械的に判断するのが悪いQC担当の特徴のような気がします。
録音以外に必要な下調べをしたり背景を確認したり、そのオペレーターの事情を汲んだ上で有益なアドバイスをするために時間を使えるのが、良いQC担当者だと思います。
違いはオペレーターのパフォーマンスにどう現れるか
悪いQC担当者の場合は基本的にオペレーターの対応品質が上がりません。
オペレーターとの面談の時も、悪い点を指摘して表面的なアドバイスをして終わりです。
しかもパフォーマンスが上がらないだけは済みません。
QC担当者とオペレーターの面談の場が吊し上げの場になりがちなせいか、オペレーターの離職率が上がってきます。
一方良いQC担当者は長期的に見て電話応対の品質が向上したと実感できるケースが増えてきます。
特に電話対応の品質低い人に顕著に現れる傾向にあります。
もちろん元々良い対応をしていた人も対応品質が向上しているのかもしれませんが、その違いが現れにくいだけかもしれません。
一方電話対応品質の低い人はその原因を確実に取り除いてあげるだけで、黙っていても品質が向上してきます。
コールセンターの品質とは、減点法で判断される場合が多いと思います。
オペレーターは良い対応をして当たり前だと考えられがちです。そこで矢面に立ちやすいのは、電話応対の品質が低めのオペレーターです。
クレームなどは電話対応品質の低い人が多いので、全体が底上げされるとクレームも減ってきます。
ではそこで、電話対応の低い人は辞めていけばいいと考える人がいてもおかしくありません。
向いていないんだから、本人にとっても会社にとってもいいことだと。
冷徹に真実を突いているように思うかもしれませんが、実際にコールセンターの現場で長年働いてきた私から見ると、その判断は正しくありません。
なぜなら電話対応品質は低い人にとって居心地が良くない職場は、同様に良い電話対応する人にとっても居心地が良くない職場だからです。
いじめが多い職場がその対象になっていない人にとっても、居心地が悪い職場なのと同じです。
電話対応の低い人だけは辞めていけばいいかもしれませんが、現実としては良い電話対応する人ほど先に辞めていくものです。
良い電話対応ができる人は全体に判断が早めでフットワークも軽いですから、良い職場かどうかの見極めや行動も早いです。
ちなみに離職率が上がると当然、新人の比率が上がってきます。
コールセンター全体が素人集団化してくると、電話の応対品質は低めで固定になります。
従って電話対応の品質が低い人を底上げできるかどうかは、コールセンター全体の品質を考える上で1つのバロメーターになります。
甘い理想論ではなく、現実を冷静に考えた結果として、電話対応の低い人はきちんと育てることがコールセンター全体の品質の底上げに繋がるのです。
QC担当者を採用する時は特に重要
この記事を読んでいる方が、QC担当者を採用する権限を持つ立場だったとしたら、以上のことを念頭においていただくといいかもしれません。
もし前職でQC担当者していた経験がある人いたならば、前職ではどういうところに気をつけて仕事をしていた聞いてみるといいと思います。
もしそこで評価の客観性などについて過剰に重点を置いてる場合は、悪いQC担当者である可能性が高いです。
ある程度は客観性を確保する努力はするが、評価はあくまで電話対応を改善するプロセスとして捉える人は丁寧な仕事をする可能性が高いです。
「QCの役割は評価で終わりではありません。オペレーターが自ら改善していけるお手伝いをしていきたいと思っています」と言うような人だったら当たりでしょう。
QC担当者はコールセンター全体の品質を左右するとても重要な役割です。
採用には慎重にも慎重を重ねて、その人の考え方を聞いてを判断する必要があります。
QC担当者の良し悪しは、時間が経たないとわからないことが多いと思います。
もし管理者や SV、 オペレーターがどんなに努力しても、QC担当者に問題ある場合はコールセンター全体の品質がじわりと低下してしまいます。
数字として良し悪しが表れにくい、実際の業務に支障が起こりにくい、そういう意味でQC担当者が外れの場合でも表面化しにくいですし、実態の把握も困難です。
また辞めさせるべき決定的な証拠も得られにくいでしょう。
しかし外れを引くと長期的にコールセンターの運営に軋み生じて低迷します。それだけに採用時の重要です。
ぜひこれらの内容を考慮していただき、QC担当者の重要性を再確認していただければと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。